映画「THE FIRST SLAM DUNK」観た 〜50歳男の感想〜

バスケットはお好きですか・・・?

 

これは原作第1話で春子さん初登場時のセリフ。

これこそがスラムダンクという作品のテーマであり意義であると思う。

この作品は

主人公の桜木花道がバスケットを好きになるまでの物語

物語の第1話目で発表されたテーマが最後までブレないのは名作の証。

例えばワンピースは「海賊王にオレはなる」と言ったルフィが海賊王を目指す物語。

進撃の巨人はエレンが巨人を駆逐し、自由を目指す物語。

2つとも壮大な物語だけどテーマはものすごく単純で主人公は最初から最後までブレることなく一貫していた。

きゅう

まあワンピースは未完やけど

漫画スラムダンクも同様で、クライマックスでの花道の

「大好きです。今度は嘘じゃないっす」

というセリフ。

原作者の井上先生はこれが描きたかったんだろうなあって推察したりする。

さらに「バスケットはお好きですか・・・?」このセリフは春子さんの口を通して井上先生が読者に問うていたものだと思う。

井上先生は

一人でも多くの読者にバスケットを好きになってもらいたい

そんな熱い思いをこの作品を通して必死に伝えていたのだろう。

あれから20年以上たった今も変わってなかった。

この映画で印象深いシーンがあった。

細かい描写ではあったが、観客席にいた親子連れ。

子供は父に無理やり連れてこられたのであろう、持ってきたゲーム機に夢中で試合には全く興味がなかった。

後半、湘北大ピンチの状況で花道が観客席に向かって吠える。

「ヤマオーは俺が倒す!!by天才・桜木!!」

ここら辺から子供は試合に興味を持ち・・・・

っていう描写がところどころ入る。

現役で漫画スラムダンクを読んでいた読者は自分もそうだけどすでに子を持つ親となっている人も多いだろう。

映画に登場したこのお父さんはそんな現役読者を投影してるんだろうなあって思った。

 

主人公リョータ

 

この映画の主人公は宮城リョータである。

リョータは湘北スタメン5人の中で最も

普通に近い存在

だと思う。

流川や三井の様な実績もない

花道や赤城の様に体格に恵まれている訳でもない

原作でも明確に描かれてはなかったけど、赤城率いる湘北の

全国制覇という目標に対し他の4人とは少し温度差があったんじゃないか

と個人的に思っている。

もちろん一般レベルで考えるとかなりの実力であることは間違いないが、リョータが対戦した海南の牧・翔陽の藤真・そして山王の深津は明らかに格上の相手だったし、何よりリョータは偉大な兄ソータと比較された一種のトラウマがある。

きゅう

自分にも兄貴おるんで観ててメッチャ気持ちわかったわ・・・

映画の回想シーンで語られたリョータの過去は感情移入して観ると本当に切ない・・・。

自分はソータの様にはなれない

自覚もあったし、周りにも、母親からもそう思われていたこともわかっていたリョータの苦悩・・・。

個人的に印象に残ったシーンでリョータの小学生時代、試合に負けた後家でお面をつけてバスケ雑誌を見ながら華麗なプレイをする自分を妄想するとこ、

きゅう

これはみんなやってたよね・・・

さらにその後母がソータの写真や思い出の品を片付けはじめた時必死に抵抗したリョータ。

これはソータに対する思い、というよりリョータがソータの代わりになることができないという悔しさ、意地が爆発しちゃった感じなんだろうな、と思った。

でも高校生になり、バイク事故の後沖縄を訪れた後リョータは覚醒する。

ここからは原作の話になるけど

三井、鉄男達との乱闘事件はこの後の話なんだよね。

あの時のリョータの心情を考えると・・・ああなるほどなあ、ってなる。

その後挑んだIH予選。順当に勝ち進み翔陽、海南戦で神奈川の双璧、牧・藤真とのマッチアップ。

かつてコンプレックスに悩んでいたリョータは

自分に自信をもって、頼れる仲間と堂々渡り合った。

山王戦前夜はちょっぴり弱音を吐いちゃったけど・・・

彩子さんに励まされ臆さず挑むリョータ。

試合も終盤、再び山王のゾーンプレス。

深津と沢北に阻まれ絶体絶命のリョータ。

見守るお母さん。(いけ・・・いけ・・・)

彩子さんの檄、

「いけーーーっリョータ!!!」

そして流れる

第ゼロ感

きゅう

ウォーウォウウォウウォ、ウォー

一瞬の隙をつきプレスを突破し、バランスを崩しながらも前へ進むリョータ。

マジで涙と鳥肌が抑えられんかった・・・。

きゅう

まあ原作ではこの後とめられるんやけど・・・

映画のラストシーン、アメリカで沢北と対峙するリョータ。

リョータって同学年の沢北、陵南の仙道、海南の神と比較してまだまだ未完成って感じだった。

ミドルレンジが苦手とか・・・。

リョータって中学時代の描写があまりないんでわからないけど、よく考えたら練習でも試合経験でも三井レベルでブランクがあるな、って思う。

要はメチャメチャ伸びしろがあるってこと。

原作スラムダンクは面白さ絶頂期に連載が終了したのでその後の展開を皆妄想したものだろうけど、20年以上経って一つ答えが出た。

リョータファンはメチャ嬉しかったんじゃないかな。よくぞ・・・って感じ。

きゅう

 

北斗の拳でケンシロウがラオウを倒した後に男前に成長したバットを見た時のような・・・なんか込み上げてくるもんあった・・・

この映画は観る人を選ぶ??

 

映像のクォリティがすごくて山王戦という試合を観るだけでもおもしろいんで、原作を知らなくてもバスケのルールを何となく知っているレベルの人ならそこそこ楽しめる映画にはなっていると思う。

エンディングロールのスタッフにバスケの監修、指導する人っていうのがいたので井上先生をはじめ

バスケをちゃんと知っている人がつくった映像

だったことがわかる。

(失礼ながら)自分が少年時代に見ていたアニメにあった

コレジャナイ感が全くなかった

きゅう

コンマ数秒の間にどんだけ動けんねん、とか単調な動き(ドリブルとか)の使い回しとかがまったくない、ウマいやつがホンマにウマいって思える動きしとったで。

無理に回想シーンなどをはさまず、単純に山王戦を忠実に映像化しただけでもこの映画は良作だったと思うほど。

ただ僕は個人的にこの映画は原作をきちんと熟読した上で観る映画だと思う。

この映画を観て

答え合わせ

をしてほしい。

試合開始直後の花道とリョータの「イッ」からのアリウープ、山王のゾーンプレス、沢北が日本一の高校生と呼ばれる所以・・・などが実際のプレイだとこういう風にみえるのか、と。

そして(特にリョータの)回想シーン、あの時リョータはこんな思いだったのか・・・と考えさせられる。

あと観るのは1回で終わりにしないでほしい。ぼくは3回観た。

正直1回目観た時、回想シーン少し長すぎかな?と思った。

でも観るたびに感情移入していき、クライマックスに近づくにつれ、体が熱くなった。

きゅう

個人的に自分も親なんで、リョータのお母さんにも感情移入してもうたで。リョータの手紙読んだシーンは号泣必死やで・・・

スラムダンクの原作を読んだ人は感動体験得られるんで絶対観てほしい、って思った。だからといってスラムダンクを知らない人は観ない方がいいのか?というとそうではないです。

井上先生はインタビューで

「この映画はスラムダンクを知らない人にも観てもらえるようにつくった」

と語っています。

この映画を漫画スラムダンクを読むきっかけとして欲しい、ということでした。

きゅう

まああの「鬼滅の刃」もアニメから入った人多いやろうしね。

とにかく言いたいことは感動体験を得たいなら映画「THE FIRST SLAMDUNK」は絶対観に行こう、って事です。

できれば原作も読み直そう。感動は2倍3倍になる。

そしてスラムダンクのテーマを思い出してほしい。

「バスケットはお好きですか・・・?」

 

 

 

 

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